◆PC録画でコピーワンス回避
2001年12月にBSデジタル放送が始まったが、3年後の2004年4月からB-CASカードを利用したコピー制御(コピーワンス)が開始された。B-CASカードをチューナーにセットしないと視聴出来ず、録画した放送番組のコピーにも色々な制限が掛かるようになった。録画愛好者には誠に迷惑千万のことである。録画ファイルのコピーはそう頻繁にはやらないが、出来ないと不便である。
ダメ元精神で、カノープスのMTVシリーズを使ってBSデジタルをキャプチャーしたところ、コピーワンスの制限を受けないことが分かった。俄然PCのTVキャプチャーを見直した。HDDレコーダーに押されて休眠中だった録画用PCを復活させた。ただ、この方式で予約録画するには一つ問題があった。当時はデジタルチューナーを内蔵した録画機が未だ登場してなかったので、外部TVチューナーとPCを連動させる必要があった。取り敢えず可能な方法は下表の3方式である。

①の方式は何の工夫もなく毎回手間が掛かるが確実である。②の方式は、MTV-2004の機能(=映像信号を受信するとキャプチャーを開始する)を使うので安上がりだが表に示すような欠点がある。③の方式はDOS/Vマガジン(2004年5月15日号)で紹介された方法で、学習リモコンを使って外部チューナーのチャンネル切替を行う方式で、この方式が一番使い勝手が良かった。
③方式で環境を整えた。BSデジタル用iEPGはontvjapanを利用した。学習リモコンとチューナーは左の写真のようにキーボードと録画用PCの隙間にセットした。この学習リモコンの入手に苦労した記憶があるが詳しいことは定かでない。
PCから学習リモコンに出力するための補完プログラムの設定方法は前記DOS/Vマガジンに詳しい解説記事が載っていたが、なかなかうまく設定出来ず悩まされた記憶がある。とは言え、補完プログラムを作成した方には感謝!感謝!でした。
この方式は、初代のMTV-1000でも、最新のMTVX-2004でも快適に動作したが、新しい方のMTVX-2004を使うことにした。快適に録画出来るので400GB超(80GB+160GB+200GB)の録画用PCのHDDは直ぐに満杯になった。当時はTB級ストレージ(400GB×4)やチューナーの内蔵等は未だ未だ先の話だった。8TBのHDDが市販され、市販のレコーダーが複数台のチューナーを内蔵するようになった現在から見ると隔世の感がある。
◆録画PCのテレビ出力
未だDLNA機能が普及してなかった当時(2000年代中頃)は、PCで録画した番組を別室の大型TVで見るのは結構大変だった。小生はカノープスのAV・リモコン信号伝送システムAVREXを使った。AVREXの不満は 専用のLANケーブルが必要なことである。既設のLANケーブルとは別にもう1本ケーブルを引き回すのはスマートでないがAV用LANケーブルの追加で、ビデオケーブル・オーディオケーブル・USBケーブルが不要になったのでスッキリしたことは確かである。
◆レジューム再生
AVRExを使わなくてもネットプレーヤーを使えばLAN経由の再生が可能だが、当時のネットプレーヤーは「レジューム再生機能 」が無いのが致命的に不便だった。テープレコーダーは原理的に「続きを再生」だし、各社のHDD・DVDレコーダーもデフォルトは「続きを再生」である。カノープスの再生ソフト「Feather 2004」もデフォルトは「続きを再生」であり、ネットプレーヤーにこの機能がないのが不思議だった。
記憶が曖昧だがマイクロソフトの Windows XP MCE もレジューム対応だったが、再生中の1番組だけだったような気がする。レジューム再生が出来ないと、小生のように映画を見たり、ドラマを見たり、浮気性のユーザには使い勝手が悪いこと甚だしい。結局、ネットプレーヤーは諦めて売却してしまった。
★ビデオキャプチャーカード
比較的古いキャプチャーカードはコピーワンスに反応しないと聞いていたが、手持ちの古いカード MTV-1000 も新しいカード MTVX-2004 のどちらもコピーワンスに反応しな かった。その後、コピーワンス対応を謳ったキャプチャーカードMTVX-2004HFがカノープスから発売された。ARIB(電波産業会:Association of Radio Industries and Business) の「コンテンツ保護規定」に基づい ているとのことである。しかし、網老人としては、コピーフリーのMTVX-2004を評価したい。
★画像安定装置でコピーワンス回避
大型量販店に行くと、HDD・DVDレコーダ売り場の片隅にさり気なくビデオスタビライザーが置かれている。 スタビライザーを使うと、ある条件でコピーフリーが実現する。この機能は著作権保護と微妙に関係するためか、一切表面に出ていないが、隠れ愛好者は多いようだ。
東芝のRDシリーズのレコーダーが2台になり、録画やダビングはPCよりも便利なので使用頻度が高くなる。こちらもコピーワンス回避が必要になり、画像安定装置を導入した。購入したままのデフォルト設定ではコピーワンスは回避出来ないが、ある操作をすると回避機能が働くようになった。
BDレコーダーが登場するまでは、画像安定装置を使って下図のようなコピーワンス回避を行っていた。
コピーワンス有効のテープをダビングする際もビデオスタビライザーを利用する。(下図) D-VHSとHDD・DVDレコーダ間は直接接続してもよいのだがStabilizerの接続を変えるのが面倒なので、セットされているi-Link系の接続を使って チューナー経由で再生する。横着の代償として画質は多少劣化しているかもしれない。
◆ハイビジョン放送のコピー制限回避
コピーワンスは2008年6月にダビング10に変わった。コピー制限が緩和されたとは言え、それほど便利になったわけではない。そのため、世の中にはあの手この手でこの制限を回避しようとする人達がいる。そうした人達の努力?でコピー制限を回避するアプリやユーティリティが密かに?開発されている。そこで登場したのが特定のTVキャプチャーカードと録画ソフトを組み合わせて「コピーフリー」を実現する方法である。使い勝手がどうか知りたくて、挑戦してみた。
小生が入手したのは上図の二枚で、左側のPX-W3PEにはカードリーダーが搭載されている。右側のPT-2にはカードリーダが載っていないので別途用意する必要がある。小生はe-TAXで使っているリーダを使った。ドライバー、ユーティリティ、アプリ等を幾つかダウンロードして設定するのだが、結構面倒で何度もトライして漸く使えるようになった。結構手間が掛かるので二度はやりたくないと思った。少なくても老人向きではない。
自作マニアの小生は、半年か一年に一度はPCを改造したり、OSを再インストールしたり、新CPUで新規に自作したりするので、あまり面倒な設定はやりたくない。ダビ10の不便さとチューナーカードの設定の面倒さを比べて、ダビ10で我慢する方を選択した。現在はダビング10の制約下でBD・HDDレコーダーを使っているが、加齢でTVの見方が変わり、今では「見たら消す」と言う視聴方法なので、コピーワンス対策は必要なくなった。