40年前、購読していたアマチュアの技術雑誌で、誕生間もないマイクロコンピュータの紹介記事を目にした。インテルと言うベンチャー企業のi8008だった。インテルは電卓用にi4004を開発した後、このi8008をリリースした。記事の内容は忘れたが、一読してマイクロコンピュータの可能性と将来性を確信した。自分の仕事にも使えそうなので資料を取り寄せた。
送られてきた英文資料を何度も読み返したが割り込み処理時のレジスター保護に疑問を感じた。いくら資料を読んでも埒が明かないので、インテルの日本支社を訪問して担当者と面談することにした。小生の疑問点はアッサリ解決した。i8008は対応していないこと、次に出るi8080で対応するとのことだった。
その時初めて見た米国系企業のオフィス環境は素晴らしかった。調度だけでなく、オフィスの窓からの眺望も素晴らしかった。我が職場とは雲泥の差でショックだった。それはさておき、取り敢えず乏しい研究費を工面して何とかi8008の評価システムを作成した。ロジックICの入門書を一寸齧っただけで、入出力基板をTTLとマイクロリレーで自作した。コンソールにはテレタイプASR-33を使った。会社でホビーを楽しむ感覚だった。
このシステムを組み込んだ実際の生産設備は、制御とは別の問題で実用にならなかったが、次世代のi8080ならかなり使えると判断した。その後、i8080を使って何台か設備を開発したが、CPU基板と入出力基板を収めた筐体の冷却に改良の必要を感じた。丁度その頃、グループ内の会社が国産の16bitのCPUを組み込んだマイクロコンピュータ(L-16A)を製造・販売することになった。
L-16Aにはミニコンと類似のリアルタイムOSが用意されていた。このマイクロコンピュータを使って、多数の生産制御システムを開発した。L-16Aに続いてC-15が登場、リアルタイムBASICが使えるようになったので、非専門家(生産技術者等)がシステム開発に参画するハードルが一気に低くなった。誕生間もないマイクロコンピュータに出会い、その後の十数年を実際の生産制御システムの開発に従事出来たのは貴重な体験だった。隠退生活の徒然にマイクロコンピュータ(PC)との関わりを振り返ってみた。
