市内見物

チワワから戻った翌日にメキシコ外務省と大使館に挨拶に行く予定だったが、事務局のY氏から「午前中の予定はキャンセル」と言う連絡を受けた。 「午前中は自由か?」と聞くと「そうだ」と言う。ホテルで待機するのも退屈だし、明日は帰国なので最後のチャンスと思った。F氏と二人でホテルを抜け出して市内を見物することにした。

ところが、一時的に小生とF氏がホテルを抜け出して所在不明になったため、一寸した騒ぎが持ち上がったらしい。しかし、誰も騒ぎについて話してくれないので、当事者の小生とF氏だけは騒ぎの実態が分からなかった。見事な箝口令である。S団長が「予定が無くても調査団員は待機しているべきだ。」と若手のY氏(JICA職員)に苦言を呈したらしい。

そう言われればそうだが、間接的な情報なので反省しつつも聞き流すことにした。これにはもう一つオマケがあった。午後の “ホテル待機” の代わりに “ピラミッド見物” をS団長が設定してくれていた。それとは知らず、小生とF氏は “ピラミッド見物” を目論んで別途タクシーを予約していたのであるが、急遽予約をキャンセルした。

◆市内見物
上述のように、ホテル待機の連絡を受けてF氏と小生は市内見物を思い立った。フロントで貰った市内案内図を持ってホテルを出た。案内図を見ると観光スポットの大部分が「革命通り」に沿っている。二人とも西も東も分からないので、取り敢えず「革命通り」 に出た。途中で屋台の食い物屋に出会ったがパスして、アメリカ大使館を横目に見ながら独立記念塔を目指した。

メキシコシティ中心部
メキシコシティ中心部

歩きながら写真を撮っていると、途中で警官だか民間の警備員だか分からない怪しげな男に声を掛けられた。 片言の日本語を話し、日本人の名刺を何枚も持っていたが、愛想が良すぎるのが気になって小生は一寸警戒した。片言の日本語で話し合っても、その場では彼が「カモを待つお兄さん」なのか「ただの親切なお兄さん」なのか、 判断が付かなかった。

警戒しつつも「お兄さん」の話に調子を合わせていたら意外と時間が経ってしまった。話の内容は覚えていないが、彼の話の中で「ブエナビスタ駅の隣に民芸品市場がある」と聞いたので、市内見物の後で寄ってみた。広い市場で色々展示されていて、雰囲気に誘われてお土産を仕入れたことはよく覚えている。万一、彼が「民芸品市場の客引き」なら大成功と言える。

褪色の進んだ二昔前のフィルムを見ると、一旦アルメダ公園まで行き、戻りながら写真を撮ったようである。大部分の写真に見覚えがあったが、撮影対象の場所や建物を特定するのに苦労した。中にどうしても思い出せないものがあった。ネット上に掲載されいる膨大なメキシコの写真を検索し続けて、漸く見覚えのある写真に出会い「サン・ イポリト寺院」と判明した。

メキシコ最後の宿泊は開業したばかりの日航ホテルだった。ところが帰国便がエンジントラブルを起こしたとのことで、代替機を日本から回送するため出発が1日延びることになった。勿論、追加の1泊は日航負担である。完全に自由行動できる1日だった。小生は、滞在が延びたのは “筋違いの復讐” をしたモクテスマ王の「償い」と解釈して、メキシコの休日を楽しんだ。

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