テープレコーダ

テープ録画には興味があったが、VHSの画質が気に入らなかったため、S-VHS機が登場するまでVTRの購入を見送っていた。S-VHSの登場は1987年(昭和62年)だが、残念ながら最初に入手したS-VHS機の型名を覚えていない。それどころか、メーカも、日本ビクターだったのか、あるいは三菱電気製だったのかハッキリしない。S-VHS機の普及はイマイチだったようだが、小生は気に入って購入後は録画マニアになった。

HR-20000
ビクターのフラグシップモデルHR-20000

90年代前半は信州の松本勤務だった。山国のためか地上波の受信品質が悪く、地上波は見て消し、NHK- BS、WOWOW、CS等の映画番組の録画は残した。

早朝から深夜まで工場にいてテープ交換が難しいので、テープ録画機4台(HR-20000×2、HR-W1、型名不詳1台)で録画した。

当然、見もしないテープが山のように積み上がった。5年後急に首都圏に戻ることになり、社宅の部屋に溢れるテープの半分くらい、数百本を処分した。

DVHSデッキ HM-DH10000
DVHSデッキ HM-DH10000

首都圏に戻って間もなく、新しいコンセプトのレコーダが登場した。

従来のアナログ放送はS-VHSで録画、デジタル放送はデジタルチューナとi-Link接続することで録画可能と言う D-VHS機である。新しモノ好きの小生、直ぐにS-VHS機2台をD-VHS機に入れ替えた。


◆i-Link録画の不具合
2000年にBSデジタル放送が開始されたので、デジタルチューナ(TU-BSD1)とHM-DR30000 の組み合わせでi-Link録画を始めた。HM-DR30000はチューナーを内蔵しないので、チューナーのTU-BSD1とi-Link接続で録画するのだが、この方式はコンセプトそのものに欠陥があり、下表のような不具合が頻発した。

   ①i-Link接続の不安定さに起因する機器の動作異常
   ②i-Link接続の不安定さに起因する映像・音声の欠落
   i-Link録画のコンセプトに 関連した問題

表1. 録画不具合
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 表2.  i-LINK録画のコンセプトに関連した問題点
i-LINK録画のコンセプトに関連した問題点

HM-DH35000
HM-DH35000(不具合対策で交換)

不具合対策のため、ビクターの品質部門との遣り取りが数年続いた。表1の対策セット2で、①の機器関係の動作異常はほぼ解決したが、②の映像・音声の欠落は解決しないままだった。

この間、我が録画環境がテープからディスクに変わったことと、これ以上要求してもビクターの技術では解決出来ないと見切りを付けて対策セット2の段階で不具合対策を終了することにした。


TU-MDS50
TU-MDS50(不具合対策で交換)

なお、対策セット2でも、③i-Link録画コンセプト絡みの不具合は全く未解決であったが、ビクターは①②の不具合対策で手一杯だった上、BSチューナーを自社開発していないので当事者能力もなかったようだ。

デジタルチューナ内蔵のHDD/DVDレコーダが各社から登場した状況を考慮して、対策セット2の機器に交換することで手を打った。手元に残ったデジタルチューナは映像Stabilizerを介してRD-X5とS端子接続で使うことにした。D-VHS機とi-Link接続だとコピーワンスが有効だが、Stabilizerを介するとコピーフリーになるので一種のコピーワンス対策である。


後日、BSチューナとHDDレコーダをSケーブルで接続して近接番組を録画時の録画内容を調査した結果、原因はチューナ側にあることが判明した。二番目の予約が始まる10秒くらい前にチューナは二番目の予約の実行準備を開始するが、その切り替わりに伴い映像が数秒途切れることを確認した。同じ現象がiLink接続で起こると、VTR側はそれ以降の録画動作が異常となるようだ。

不具合対策が数年続く中に,録画媒体はテープから光ディスクに変わってしまった。2000年代前半に小生が経験した、①ビクターのi-Link接続録画トラブル、②ソニーのHDDレコーダ問題、③松下電器の初代・斜めドラム洗濯機の不具合、等々は国内家電メーカの技術力の弱体化の兆しだったような気がする。

◆テープの処分
BSデジタル放送開始以来5年が経ち、既に世の中はテープの時代から光ディスクの時代に移ってしまった。小生もVTRを使用することがほとんど無くなり、 部屋に溢れるテープを整理・保管するのが重荷になってきた 。2005年秋、先延ばしにしてきたテープの処分に取りかかることにした。山積みの古いテープを確認した結果、意外と画質レベルが低いので廃却への抵抗感は減少した。

画質はイマイチでも、NHKスペシャルの「地球大紀行」や「人体」等のシリーズ物や、一部の映画タイトルはテープからDVDへダビングした。最近はゴミの捨て方が難しいので、ビデオテープの廃却前に横浜市のゴミの出し方マニュアルを調べた。ビデオテープは一般家庭ゴミ(燃えるゴミ)に区分されていたが、突然多量のゴミを出すと隣近所や回収作業員が迷惑しそうだったので、ゴミ収集日毎に20~30本ずつ出して処分した。